2014年4月29日火曜日

libGDX のプレゼン資料

4月28日にイスタンブールで行われた Istanbul Tech Talk にて、 Mario Zechner が発表した libGDX についてのプレゼン資料です
また、資料中にある Live-Coding Session に使用したコードは GitHub 上にて公開されています
各実装フェーズ毎にタグが切ってあり、また script.txt にその簡単な解説があるため、 libGDX にてどのように実装を行うかを把握するにはよい資料だと思います
(全体を把握しやすくするため、実装はかなりコンパクトにまとまっています)

2014年4月26日土曜日

libGDX のプロジェクト構成と共通インターフェイスについて

libGDX はマルチプラットフォーム対応のため、(プラットフォーム共通の)ゲームロジックの実装と、各プラットフォームに依存する実装は分離されています
セットアップツールを使い、プロジェクトを作成すると以下のようなディレクトリ構造にてプロジェクトが作成されます
(セットアップツールの "suprojects" の設定にて、 "Desktop" 、 "Android" 、 "Ios" 、 "Html" の4つすべてを選択した場合になります)

"android"、 "desktop" 、 "html" 、 "ios" の各ディレクトリには、それぞれのプラットフォーム毎の実装、設定などを含みます
例えば、 "android" ディレクトリには "AndroidManifest.xml" ファイル、 "ios" ディレクトリには "Info.plist.xml" ファイルなどがあります


これらのプラットフォームの違いを吸収するため、 libGDX は次の5つのインターフェイスを用意しています
  • Application … ライフサイクル、ウィンドウ管理などのアプリケーションレベルイベントインターフェイス
  • Files … ファイルシステムインターフェイス
  • Input … マウス、キーボード、タッチイベントや加速度センサーなどの入力イベントインターフェイス
  • Net … HTTP(S) 、 Socket 通信などのネットワークインターフェイス
  • Audio … PCM 入出力などのオーディオインターフェイス
  • Graphics … OpenGL ES 2.0、3.0 インターフェイス
これらのインターフェイスを利用することで、開発者は個々のプラットフォームの差を意識することなく、実装を行うことができます
なお、プラットフォームによっては提供されていない機能や未実装の機能(2014年4月現在では iOS プラットフォームではコンパスが利用できないなど)が存在するため、すべての機能が共通して利用できるというわけではないので、ご注意ください

2014年4月23日水曜日

書評『Learning Libgdx Game Development』

Packt Publishing の "Learning Libgdx Game Development" のレビューです
本書は Java ゲーム開発フレームワークである libGDX  にについて解説した書籍となります
目次は下記のようになっています
  • Introduction to Libgdx and Project Setup
  • Cross-platform Development – Build Once, Deploy Anywhere
  • Configuring the Game
  • Gathering Resources
  • Making a Scene
  • Adding the Actors
  • Menus and Options
  • Special Effects
  • Screen Transitions
  • Managing Music and Sound Effects
  • Advanced Programming Techniques
  • Animations
ゲームロジックの実装はもちろん、テクスチャのパッキング、 UI 作成、パーティクルによるのエフェクト処理などゲーム開発に必要なことが網羅的に書かれた内容となっています
最初は小さなプログラムから開始し、徐々に機能を解説、追加していくことで libGDX が持つ多くの機能を段階的に学ぶことができます

本書にて対象とするプラットフォームは主にデスクトップと Android となり、 HTML 5 や iOS についてはサポートしている程度にしか記述されていません(特に iOS 対応に関しては、現在の RoboVM 採用前の Xamarin.iOS についての解説になっています)
開発そのものも大半をデスクトップでの動作前提に進められますが、それによりエミュレータの起動などの必要がなくなり、開発そのものに集中して作業が進められることができました
また、入力インターフェイスの調整以外はデスクトップと Android にてゲームロジックを変更することなく同様に動作させることが出来たため、デスクトップにて開発を進め、各モバイル端末で実際の動作確認と細かい調整という効率的な手法が選択できるかと思います(本書の対象外とはなりますが、 gradle を採用した最新のビルドツールによる、 iOS 上での動作も確認できています)

なお、 libGDX が今もなお活発に開発が進められているということもあり、書籍にある通りに記述しても最新のバージョンでは動作しない(※UI のセレクトボックスの仕様変更)というケースもありました

全体的には、 libGDX に関して必要な情報がまとまった良書だとおもいます
(2014年4月現在、 libGDX について書かれた唯一の書籍でもありますが…)
サンプル PDF もダウンロード可能ですので、興味があれば内容を確認してみてはいかがでしょうか

2014年4月21日月曜日

libGDX 1.0 リリース

libGDX 1.0 がリリースされました
今回のリリースにて、 Android のバージョンは 2.2 以上(OpenGL ES 1.x サポートが除外されたため)が対象となりました
またセットアップツール、ドキュメントの大幅な刷新が行われています
(現状では公式ドキュメント以外では、ほぼ旧セットアップツール(gdx-setup-ui.jar)を使用した解説がほとんどとなりますので、ご注意ください)
今まで Eclipse での開発を推奨してきていましたが、ビルドツールに Gradle を採用することで IntelliJ IDEA 、および NetBeans での開発が簡単に行えるようになりました

2010年3月から始まり、4年経った今も活発に開発が行われているプロジェクトです
1.0 はプロジェクトにとっては単なる区切りでしかなく、今後も新たな機能や改善が行われていくかと思います
拙作の Gradle プラグインが本プロジェクトに採用されたことがきっかけで、コミュニティに参加するようになりましたが、何もわかっていない初心者でも歓迎してくれる良いコミュニティだと思います

( Unity や(アジア圏に強い) Cocos2d-x と比較して)日本ではまだまだ知名度の低いゲームエンジンゲーム(2D / 3D)開発フレームワークではありますが、おもしろいプロダクトと思いますので、機会がありましたら、ぜひ使ってみて下さい
こちらのブログでも今後も情報提供できたらと思います

2014年4月1日火曜日

libGDX について

libGDX は、デスクトップ(Windows, Mac OS X, Linux)、モバイル(Android, iOS, Blackberry)、 HTML5 というマルチプラットフォームをサポートした、オープンソース(Apache License 2.0) の Java ゲーム(2D / 3D)開発フレームワークになります
国内ではまだ有名とは言えない状況ですが、海外では Android ネイティブアプリケーションをはじめ、多くのゲーム開発にて採用されています

このフレームワークの最大の魅力は、ラピッドプロトタイピングと、それによりイテレーションを素早く実行できることにあります
実行、デバッグが容易なデスクトップ用アプリケーションとして開発を進め、その後各プラットフォームにて調整という流れで作業を行うことで開発時間の短縮がはかれます
(ただし、 HTML5 対応に限っては調整にかなりの時間を要するかと思います)

また他のゲーム開発用フレームワークと比較すると、 libGDX は OpenGL による描画や入出力処理などの低レベル API が中心として提供され、ゲーム開発によく使われるトランジションなどの高レベル API はあまり用意されていません
しかし、これにより他のライブラリ、フレームワークとの柔軟な組み合わせ(例えば、先述のトランジションに関しては Universal Tween Engine を使用するなど)を実現することができます

ドキュメントに関しても公式の Wiki 、フォーラムをはじめ、などが充実しています(残念ながら、日本語の資料は少ないです)
YouTube 上にも(公式のものではありませんが)チュートリアル動画がいくつかアップロードされています(以下はシリーズとしてまとまっているものを挙げています)
日本語の資料は少ないのですが、 @rnkv さんの「技情研ネット」内のページがとても実践的な内容にてまとまっています
以上、簡単な libGDX の紹介と資料のリンクまとめになります
(上記以外にもオススメのドキュメント等ありましたら教えてください)

2014年3月30日日曜日

NetBeans で libGDX プロジェクトを作成する

NetBeans で libGDX プロジェクトを作成する方法を紹介します
libGDX は Java 用クロスプラットフォームゲーム開発フレームワークで、現在 Windows, Mac, Linux, Android, iOS, BlackBerry, HTML5 をサポートしています
今までは開発には Eclipse を推奨していたこともあり、他の IDE にて開発するのは少し手間が必要でした
今回新たにセットアップツールの刷新が行われ、ビルドツールとして gradle が採用されたことにより、 NetBeans をはじめ、 Eclipse 以外の IDE 、エディタによる開発が簡単に行うことができるようになりました
本エントリでは、この新しいセットアップツールと、 NetBeans での libGDX プロジェクトの作成方法を紹介したいと思います
なお、 libGDX は現在も活発に開発が進められているプロジェクトであるため、閲覧される時点では挙動が異なる可能性があることをご了承ください
今回使用した環境は以下の通りになります

OS: Mac OS X 10.9.2
JDK: 1.7.0_51
Xcode: 5.1
※ Xcode は iOS プラットフォーム利用時のみ必要となります
NetBeans 8.0(Build 201403101706)
Gradle Support Plugin 1.3.0

まず、セットアップツールをダウンロードします
適当な場所に保存後、下記コマンドにてセットアップツール起動します

$ java -jar gdx-setup.jar

起動後、上記のようなウィンドウが表示されるので、各項目に適当な値を入力します
(※4月23日最新版セットアップツールに更新)

Name … アプリケーション名
Package … 作成するプロジェクトのパッケージ名
Game class … プラットフォーム共通(core)のメインゲームクラス名
Destination … プロジェクト作成先ディレクトリ
Android SDK … Android SDK のパス(local.properties に設定されます)

"Sub Project"、"Extensions" については必要に応じ、チェックを行ってください
入力後、 "Generate" ボタンをクリックすると、プロジェクトが "Destination" フィールドに指定した場所に生成されます

次に作成したプロジェクトを NetBeans で開きます
「ファイル > プロジェクトを開く」にて、生成されたディレクトリまで移動します


プロジェクトを開くと、以下のようなツリー構造で NetBeans に開かれます


作成したプロジェクト(ルートプロジェクト)は、5つのサブプロジェクトで構成されます

android … Android 用プロジェクト
core … プラットフォーム共通プロジェクト
desktop … デスクトップ (Windows, Mac, Linux) 用プロジェクト
gwt … HTML5(GWT) 用プロジェクト
ios … iOS 用プロジェクト

各サブプロジェクトはダブルクリックすることで開くことができます
まず、ルートプロジェクトの設定を行います
(ルートプロジェクトに行った設定はすべてのサブプロジェクトに反映されます)
ルートプロジェクトを右クリックし、コンテキストメニューから "プロパティ" を選択すると以下のようなウィンドウが表示されます



"Gradle home" の "Inherit" チェックボックスをはずします
また、テキストボックスに値が入力されている場合は、それも削除し、空白の状態にします
お使いの環境が Mac で、 JDK に Java 8 を使用されている場合は "Platform for build scripts"、"Target platform"、"Source Level" にて Java 7 (1.7) を選択してください
(デスクトップ用プロジェクトに使用されている lwjgl が2014年3月29日時点で Java 8 に対応していないため)
上記設定が終わったら、"OK" ボタンをクリックし、設定を反映します

プロジェクトの設定が終わったので、各サブプロジェクトを実行してみます
最初はデスクトップ用アプリケーションを実行します
サブプロジェクト内の desktop をダブルクリックして開きます
開いたプロジェクトを右クリックし、表示されたコンテキスト内から「Tasks > run」と選択し、クリックします


ビルドが実行され、以下のようなウィンドウが表示されます

次に Android 用アプリケーションを起動します
実行するために事前に端末の接続、またはエミュレータの準備を事前に行っていてください
今回は Genymotion を実行環境として使用します
サブプロジェクト内の android をダブルクリックして開きます
開いたプロジェクトを右クリックし、表示されたコンテキスト内から「Tasks > installDebug」と選択し、クリックします
Android 用のタスクは量が多いため、表示できていない場合は「Custom Tasks > Custom Tasks」と選択し、表示された "Execute Custom Tasks" ウィンドウの "Tasks" フィールドに "installDebug" と入力し、 "Execute" ボタンをクリックすることで同様に実行することができます
("Save And Execute" ボタンをクリックすると、実行したタスクが保存されるため、2回目以降は入力の手間が省けます)


ビルドが実行され、接続していた端末、またはエミュレータにアプリケーションがインストールされます
実行すると以下のように表示されるかと思います


次は HTML5 (GWT) 用アプリケーションを起動します
サブプロジェクト内の android をダブルクリックして開きます
開いたプロジェクトを右クリックし、表示されたコンテキスト内から「Tasks > superDev」と選択し、クリックします
(リスト内に "gwtSuperDev" という似た名前のタスクがありますが、こちらでは正常に起動できませんので、間違えないようご注意ください)


次にブラウザを開き、 "http://localhost:9876/" へアクセスします
(制限はないのですが、 Google Chrome ブラウザの使用をおすすめします)
以下のような表示がされるので、"Dev Mode On"、"Dev Mode Off" をブックマークレットとしてブックマークバーに登録ください


次に "http://localhost:8080/gwt/" へアクセスします
最初に以下のようなダイアログが表示されますので、先ほど登録した "Dev Mode On" ブックマークレットを実行します


実行すると、以下のように表示されるので、 "Compile" ボタンをクリックします


コンパイル終了後、以下のように表示されます
(再度先ほどのダイアログが出る場合がありますが、ローディングが終わるまでお待ちください)


最後に iOS 用アプリケーションを起動します
サブプロジェクト内の ios をダブルクリックして開きます
開いたプロジェクトを右クリックし、表示されたコンテキスト内から「Build」を選択し、クリックします
ビルド終了後、再度プロジェクトを右クリックし、「Tasks > launchiPhoneSimulator」と選択し、クリックします
(今回は iPhone シミュレータでの実行を行いますが、 iPad シミュレータ、および実機での実行も可能です)


実行後、以下のように表示されます
(初回実行時はシミュレータ起動までかなり時間が掛かりますのでご注意ください)


以上が、サポートする各プラットフォームでの実行となります
新しいセットアップツールと gradle を使用することで、簡単に NetBeans 上にプロジェクト構築が出来ることをご理解頂けたかと思います

実際のゲーム開発は、サブプロジェクトにあった core (プラットフォーム共通)プロジェクトを中心に実装していくことになります
libGDX を使用したゲーム開発の詳細については、また別のエントリにて紹介できればと思います

2014年2月1日土曜日

iPhone Game Blueprints を読みました

Packt Publishing の "iPhone Game Blueprints" のレビューです

本書は iPhone ゲームを開発する上でのゲームデザインと App Store での売り出し方について解説した書籍です
目次は下記のようになっています

  • Preface
  • Chapter 1: Starting the Game
  • Chapter 2: Ergonomics
  • Chapter 3: Gesture Games
  • Chapter 4: Card and Board Games
  • Chapter 5: Puzzles
  • Chapter 6: Platformer
  • Chapter 7: Adventure
  • Chapter 8: Action Games
  • Chapter 9: Games with Reality

前半はゲームをつくる前段階として注意すべき点について記述されています
ここで取り扱われている内容は iPhone ゲーム開発に限らず、他のプラットフォームでも役立つ内容だと思います
(iPhone 固有の注意点もしっかり書かれています)
ただ、扱っている範囲が広いため、やや物足りないものもあり、それらについては別の書籍にて補完していく必要があるかと思います

後半は、前半にて取り扱ったポイントをさらにゲームのジャンルごとに掘り下げています
各ジャンルにて、基本なアイディア(技術的なベース)を説明し、そこからどのように魅力的なゲームとなるようアイディアを広げるかを、いくつかのサンプルとなるアイディアをベースに解説しています

読んだ感想としては、アイディア出しから App Store へのリリースまでの長い行程を網羅的に書かれた良書でした
一点注意いただきたいのは、本書では実装(プログラミング)については扱われていないということです
そういった内容を期待される場合は別のゲーム開発に関する書籍(日本語の書籍も数多く存在します)を参考にされるのがいいかと思います
反対に、いくつかの書籍、チュートリアルを終えたが、いざゼロからゲーム開発を行おうとした際に何から手を付けていいのか詰まっている方の強力な後押しになるものと思います
ページ数はやや多いものの、イラストや画面イメージが多用されていることもあり、詰まることなく読み進めることができました

興味を持たれた方は、上記サイトから Chapter 04 がサンプルとしてダウンロードできますので、確認してみてはいかがでしょうか